生理中のセックス、どうしてる?——カップルなら一度はぶつかる問いだと思います。
僕らの答えは最初から決まっていて、「しない」。
この記事は、その決めごとの話と、決めごとがあったからこそ特別になった、ある夜の話です。
先に言っておくと、生々しい話はほとんど出てきません。
これは行為の記事ではなくて、境界線がどう動くかの記事です(生理中の性行為の衛生・健康面については、医療系の情報にあたってください。
ここで書くのは「決め方」の話だけです)。
僕らが「しない」と決めている理由
生理中はしない。
これは僕が決めたことでも、彼女が我慢していることでもなく、ふたりで話して決めたことです。
理由はお互いにありました。
彼女の側の理由は、はっきりしています。
- 性欲処理の道具みたいにされたくない
- 自分が気持ちよくなれないのに、一方的に奉仕するだけの行為はしたくない
- そもそも、その時期はそういう気分にならない
僕の側の理由も、裏返しで同じでした。
自分だけが気持ちよくなるのは嫌だ。 挿入以外で彼女を満足させてあげられる自信もない。
だったら、しないでおこう。
ここで大事なのは、これが「我慢」ではなかったことです。
むしろ僕らは、この期間を前向きに捉えていました。
1ヶ月いつでもできる状態だと、たぶんマンネリ化する——ふたりともそう思っていて、月に一度の「できない期間」は、関係の良いスパイスとして機能していたんです。
あえて制限を残す。
引き算の知恵です。
ジレンマの日
ところがある休日、その決めごとが揺れる日が来ました。
一日一緒に過ごして、お互いに気分が高まってしまった。
でも時期的に、いつものようにはできない。
ふたりとも分かっているのに、空気だけが温まっていく。
決めごとは正しい、でも今日のこの気持ちはどうしよう——という、なんとも宙ぶらりんなジレンマです。
このとき僕が偉かったわけでは全然なくて、動いたのは彼女でした。
境界は、彼女の側から動いた
彼女には以前から、口にしていた小さな願望がありました。
彼女が何かをしてもらう側ではなく、僕を満たす側に回る種類の願望で、僕の方が気恥ずかしくて、ずっと断り続けていたことです。
その日、彼女はあらためてそれを口にして、僕は初めて受け入れました。
そこから先は、挿入のない触れ合いに自然に発展して——詳細は伏せますが、結果として僕だけが満たされる形の夜になりました。
普段の僕らにはない形です。
終わったあと、僕は正直、罪悪感がありました。
自分だけ気持ちよくなってしまった。
決めごとの線も越えてしまったかもしれない。
だから謝ったんです。
そうしたら彼女は、あっさりこう言いました。
「生理中でも役に立てて嬉しい」「あなたが喜んでるのが嬉しい」
「道具にされたくない」と「役に立てて嬉しい」は矛盾しない
ここがこの夜のいちばん大事なところで、この記事を書こうと思った理由です。
「一方的に奉仕したくない」と言っていた彼女が、「役に立てて嬉しい」と言う。
矛盾しているように見えますよね。
でも、ぜんぜん矛盾していないんです。
分かれ目は、誰が言い出したかでした。
僕の欲求のために彼女が応じさせられたなら、それは「道具にされる」です。
でもこの夜は、彼女が自分の願望から言い出して、彼女のペースで進んだ。
同じ行為でも、自分の意思で与えるのと、受動的に使われるのとでは、意味がまるで違う。
D/sの世界でいつも話していることが、プレイですらない日常の夜に、そのまま現れた感じでした。
ひとつだけ条件を付けておきます。
「相手から言い出させればいい」という話ではありません。
彼女が言い出せたのは、断られても気まずくならない関係が先にあったからです。
そして、温まった空気そのものが無言の圧力になることもある。
相手の「自分から」が、気遣いやサービス精神から絞り出されたものになっていないか——それを見るのは、受け取る側の仕事だと僕は思っています。
境界線は破られたんじゃなくて、持ち主が自分で動かした。
これが、僕らにとっての健全な境界の動き方です。
それでも結論は「今まで通り、しない」
じゃあ僕らはこれを機に「生理中もアリ」に決めごとを変えたかというと——変えませんでした。
僕からは誘わない。
彼女が望んだときに、応じられる選択肢がひとつ増えた。
それで十分です。
話し合った結果、「生理中はきっぱりしない」は今まで通り残すことにしました。
あの禁欲期間のスパイスは、僕らの関係にやっぱり効いているからです。
境界が一度動いたのに、元の場所に自分たちで戻す。
これも含めて、境界線はふたりのものなんだと思います。
まとめ
- 生理中にするかしないかに正解はない。ふたりで話して決めたことが正解
- 決めごとは「我慢」じゃなく、関係のリズムを作る道具にもなる
- 境界を動かしていいのは、境界の持ち主だけ。相手発信なら同じ行為でも意味が変わる——ただし空気で言わせていないかは、受け取る側が見る
- 一度動いた境界を「やっぱり元に戻す」のも、立派な合意
生理のたびに少しぎくしゃくするカップルは、たぶん「する/しない」の二択で考えています。
その手前の「どう決めるか」をふたりで話せたら、どちらを選んでも、それはもう良い夜の入口です。

